医学

整形外科的知識⑧腰椎圧迫骨折どう見たらいいの?

こんにちは、今回も整形外科的な内容を少しつぶやきたいと思います。

圧迫骨折とは?

腰椎圧迫骨折は、現代の高齢化社会において、腰痛の原因の多くを占める疾患であると思います。

そもそも圧迫骨折とは何でしょうか。普通骨折といったらぽきっと2つに割れる骨折を思い浮かべると思います。

圧迫骨折はそうではなく、骨が潰れる骨折になります。なので普通の骨折とは少し違う点があります。

普通の骨折と何が違う?

まず軽微な外傷で起きることがあるとういうことです。ほとんどが骨粗鬆症性の骨折です。これは腫瘍、先天性代謝疾患などで易骨折性がある場合でもそうなるのですが、骨粗鬆症性の骨折は、圧倒的に軽微な外傷である頻度が高いという意味で理解してください。腰痛+高齢であれば必ず考えなければなりません。

軽微な外傷と一言で言っても、尻もちをついた、中腰で鉢を移動させた、朝の起き上がり時に痛めたなど様々です。人によってはいつ受傷したかわからない人もいます。これが「いつのまにか骨折」と言われる所以です。

そして脊椎の椎体骨折で起きることが多いです。椎体に力が加わり皮質骨が圧潰することで起きるのですが、初期では単純X線(レントゲン)で指摘することが困難であることが多いです。なのでMRI検査が必要となることがあります。

また、多くは手術が不要ですが、椎体圧潰のために前弯や後弯、側弯変形を来たしたり、椎体後方への突出のために神経障害をきたす場合は手術を検討する必要があります。

原因は?

原因は大きく分けて2つです。

1つは上記にもありますが、骨粗鬆症によるもので圧倒的に多いです。

もう1つは必ず頭の片隅に鑑別として置いておく必要があります、悪性腫瘍の骨転移です。

他にも感染性椎体炎なども考えないといけませんが、典型的な画像であれば鑑別できることが多いです。

どういう画像所見になるか

上記にもありますが、受傷初期には単純X線(レントゲン)では診断できないことがあります。

慣れたらCT検査でも圧迫骨折を指摘できるようになりますが、それでもわからない時があります。

一番わかりやすいのはMRI検査です。それもsagittal(矢状断)像で、T1、STIRという撮り方でほとんど診断できます。

(T2も大事なので一緒に撮りますが、、)

実際の画像を載せることができないのですが、シェーマは以下の様になります。

黒い部分がT1だとlow(黒い)、STIRだとhigh(白い)にうつります。

わかりやすく帯状に書きましたが、実際に帯状であることが多いです。

これが悪性腫瘍の骨転移の場合は、、

この様に椎体全体が黒くなることが多いです。この場合は原発となる悪性腫瘍がないか考える必要もあります。

この様な画像でも骨粗鬆症性の圧迫骨折であることもあるので、放射線科の読影(レポート)も参考にした方が良いでしょう。

(専門医試験的には単純X線でpedicle sign=フクロウの目、MRIで椎体後方〜椎弓にかけてT1lowですかね)

治療は?

神経麻痺所見や極端なアライメント異常がない場合は保存的治療となることが多いです。骨折部位に応じた長さのコルセット(装具)を作成することが多いです。できれば硬性コルセットを着用して欲しいですが、着け心地が悪く装具をつけたがらない方も多いです。なので状況に応じて軟性コルセットを作ることも検討することがあります。

コルセットは椎体が癒合するまでの間支えとなる大事な装具なので、受傷から最低でも3ヶ月間は使用した方が良いでしょう。

また骨粗鬆症性の圧迫骨折である場合は必ず骨粗鬆症の治療を開始または改める必要があります。他の骨折を予防することが非常に重要です。

神経症状や極端なアライメント異常をきたす場合は脊椎専門外科に紹介し手術するかどうか相談することをお勧めします。

悪性腫瘍の骨転移の場合は原疾患の治療と、デノスマブなどの投与、放射線照射などを検討します。

おわりに

いかがでしたか。整形外科の先生なら知っている方も多いとは思いますが、それ以外の方は意外と画像所見が分からないことも多いと思います。

圧迫骨折は誰でも起きる可能性がありますので、高齢で腰痛のある方を見たら、まずはレントゲンを、次にMRIを検討しましょう。

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