医学

整形外科的知識③:K-wire?C-wire?

こんにちはコツコツです。今回は整形外科的知識についてです。

整形外科医なら最初の手術ですぐに遭遇する単語かと思います。

K-wire

整形外科の手術は骨折の転位(ずれ)を整復して、それを固定するのが基本です(人工関節などは除きます)。その時に最初からインプラントで固定するのではなく、仮固定する時に専用のワイヤーを使います。その一つがK-wireです。Kirshner-wire(キルシュナー鋼線)の略でK-wire(ケイワイヤー)と呼ばれています。横断面は正円、先は尖っていて、2-3面カットになっていることが多いと思います。片鋭(片方だけが尖っている)と両鋭がありますが、片鋭をよく見かけると思います。長さや太さはメーカーによって様々で、大体10−20cm前後かと思います。太さ(直径)は1.0mm、1.2mm、1.5mm、1.8mm、2.0mm、2.4mm、3.0mmあたりをよく見かけます。K-wireはC-wireより長いことが多いと思います。固定するwireは長い方がいい場合と短い方がいい場合があります。どういう場合が適しているか考えましょう。また太さはどのように決めるのでしょうか、考えてみましょう(次回)。また手術方法によってはK-wireだけで固定してしまう時があります。そのことについても後日。。

C-wire

次にC-wireについて説明します。諸説あると思いますが、C-wire(シーワイヤー)のCは concept が由来だと聞いたことがあります(concept社という会社の名前なのか、英語のconceptなのかはわかりませんが)。C-wireの多くは両鋭となっていると思います。片方が2-3面カット、もう片方が4面カット(ダイヤモンドカット)になっています。横断面は楕円であることが多いです。2-3面カットの方はK-wireと同じように皮質骨を貫くのに適しています。4面カット部分は皮質を貫かずに髄内釘として使用することに適しています。太さは0.7mm、0.9mm、1.0mm、1.2mmなどがあり、K-wireより直径が短く、全体の長さも短いです。主に手の外科(手指の骨折など)で使用することが多いです。

K-wireもC-wireもほとんどステンレス製です。ですが、チタン製K-wireや、通称ねじ切りK-wire(もはやK-wireじゃないのではと思いますが)というのも存在します。

両鋭のメリット

なぜwireには両鋭と片鋭があるのでしょうか。片鋭はもう片方が鈍なので使用後に、自分の手指を刺してしまうリスクが低くなります。一方、両鋭ですと使用後、自分の方に尖がった鋼線が向いているので、自分の手指を誤って刺してしまうことがあります(針刺し事故)。一旦固定できたらすぐにワイヤーカッターで尖がっている鋼線の端を切りましょう。このことだけ考えると両鋭のメリットなさそうですよね。。ですが、いわゆるswitch back、一度骨折部から骨を通して整復後に逆方向にwireを挿入し直す方法を使う時には両鋭でないとできません。よく手指の骨折の時、あるいは指の不全切断の時などに使われますが、大きな長管骨でも骨折型によっては有用な方法です。一度骨を捉えて反対側に抜くことでjoy stickの様に骨をコントロールすることもできます。コントロールして整復した後にまた挿入しなおして骨折部を固定すれば良いのです。ただし反対側を貫く時はsafe zoneであることを確認する必要があります。

おわりに

骨折の手術といったらすぐにプレートや髄内釘など大きい金属のことを考えがちですが、骨折の手術で大事なのはreduction(整復)です。その整復と固定のために、K-wireとC-wireはなくてはならないものです。特性を理解して適切に使用しましょう。

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