こんにちはコツコツです。整形外科医なら最初に覚えるところだと思いますが、スクリューのタイプに関して少しお話ししたいと思います。
コーティカルスクリュー
コーティカルスクリューというのはcortex(皮質骨)に用いるものと考えてもらっていいと思います。骨の構造を勉強するときに皮質骨(骨の外側)と海綿骨(骨の内側)をまず覚えますよね?スクリューの先端が皮質骨を貫く様にできているものがコーティカルスクリューです。手前の皮質骨と反対側の皮質骨を抜くとネジが効くようになっています。スクリュー・プレート固定には必須の知識ですね。プレート越しにコーティカルスクリューを挿入する(2つの皮質を貫く)とプレートを骨に引き寄せることができます。
また後述(いつの日か)するDynamic compressionとかLag screw techniqueとか、整復(骨を元の位置に戻す、reduction)に用いる手技でも使うスクリューになります。
キャンセラススクリュー
キャンセラススクリューはCancellous bone(海綿骨)に用いるスクリューと考えていいと思います。キャンセラススクリューはコーティカルスクリューと違い、骨の反対側を抜かない時に使います。具体的には反対側が関節(=軟骨)になっている場合ですね。関節内にはスクリューの先端を出したくないので、骨髄内に先端を留めておく(海綿骨内)必要があります。反対側は貫きたくない、、しかし固定性はある程度欲しい場合に使います。よく使われるのはCCSというタイプのキャンセラススクリューになると思います。Cannulated Cancellous Screwの略ですね。
CCS
CCSはスクリューが中空になっています。これがとてもメリットのあることなんです。打ちたい場所に、スクリューの中空部が通る鋼線を、あらかじめ挿入することができるのです。要するに試し打ちができるということですね。経験を積めばいい場所に一発で挿入できることもありますが、大体は打ち直しが必要になると思います。大きいスクリューを挿入してしまうとその部分の皮質骨や海綿骨は失われてしまうため、固定力が落ちることがありますので何度も大きいスクリューを挿入し直すことはできません。CCSは最初にガイドピンと呼ばれる鋼線を刺入して、場所を確認してから長さを決め、ドリルで穴を掘り、スクリューを挿入することができるのです。なので色々なタイプの骨折で使用可能です。スクリューが中空であることのデメリットはスクリュー自体の強度が落ちることぐらいだと思います。複数本挿入できればあまり問題にならないかと思います。
おわりに
いかがでしたか。整形外科の手術に携わる方は一度は聞いたことのある単語だと思います。理屈を知ると楽しいと思います。手術中の実物を見ながら参考にして下さい。
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