コツコツです。みなさん突然ですがロコモって知っていますか?
メタボリックシンドロームは「メタボ」で有名ですよね。「ロコモ」と聞かれても知らない人が多いのではないのでしょうか。今回はロコモ=ロコモティブシンドロームについてお話ししたいと思います。
概要
ロコモティブシンドロームとは運動器の障害によって移動機能が低下した状態(動けなくなる状態)です。
運動器=locomotive organ が由来となっています。
運動機能低下には以下の3つが原因として挙げられます。
①関節軟骨や椎間板の変性(変形性関節症)
②筋萎縮、筋力の低下(サルコペニア、神経障害)
③骨量の低下(骨粗鬆症)
①変形性関節症
変形性関節症はいわゆる「膝の軟骨がすり減った」=変形性膝関節症が有名と思いますが、変形性股関節症や変形性脊椎症などもあります。関節があるところには軟骨があります、その軟骨がすり減りと関節症を起こします。移動能力に大きく関係する関節は股関節、膝関節、脊椎椎間板になりますので、頻度の高い変形性関節症として取り上げられています。
関節症が進行すると疼痛の増悪や可動域制限(動ける範囲が狭まる)のため移動能力が落ちます。
②筋萎縮・筋力低下
筋萎縮や筋力の低下はサルコペニアや神経障害により起こります。
サルコペニアは加齢により筋肉量が減少することを言います。
神経障害(運動神経)があると筋肉を動かすことができなくなりますので筋萎縮が起きます。
③骨粗鬆症
骨粗鬆症はご存知の通り、骨密度低下のことです。骨折する可能性が上がります。骨折すると治療の前後で一時的に寝たきり状態になることがあり、著しく筋力が低下します。
移動能力が低下すると社会参加制限、生活活動制限されます。さらには介護を要する様になります(要介護の原因となります)。
ロコモティブシンドロームは症候群という名の通り、これといった症状ではなく、色々な症状が組み合わさって出現します。関節痛や背骨の変形、下肢の筋力低下、バランス能力の低下などがあります。
検査・診断
身体機能チェックには立ち上がりテストや2ステップテストがあります。この2つで診断し、ロコモ度を評価します(ロコモ度1と2があります)。その他にもロコモ25があります。自分で検査することは難しかったり転倒の危険もあるため、最寄りの整形外科で診察してもらいましょう。
予防
上記身体機能チェックは診断と評価に用いられますが、実は診断よりも予防の方が大事なんです。
そのために、今のうちからロコチェックしましょう。
ロコチェックというのは、以下の7つの項目に1つでも当てはまればロコモの可能性があるという確認のための自己チェックです。1つでも当てはまる方にはロコトレ(筋トレ)が推奨されています。
ロコチェック
- 片脚で靴下が履けない
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
- 15分くらい続けて歩けない
- 家の中でつまづいたり滑ったりする
- 家のやや重い仕事が困難である(掃除機、布団を持ち上げたりする動作)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
ロコトレ
ロコトレ①開眼して片脚立ち(テーブルに手をつく) 左右1分間ずつ 1日3回
ロコトレ②ハーフスクワット 尻餅をつかない様に、椅子やソファに腰掛ける感じで行う。膝はつま先より前に出ない様に。ゆっくり5-6回 1日3回
ロコトレで予防することはとても大事なことですが、ロコトレで一番大切なことは転倒してけがをしない事です。最初は無理せず、軽めに、誰か見守りがある状態の方が良いと思います。
おわりに
いかがでしたか?ロコモティブシンドロームについて理解が深まったでしょうか。病気の名前というよりは、移動能力低下に伴う転倒による骨折や、寝たきりによる内科的合併症の予防のための概念と捉えていただくとわかりやすいかもしれません。気になる方は最寄りの整形外科を受診し、身体機能評価や骨密度検査を受けると良いと思います。