医学

整形外科的知識12:肩関節、どうみるの?可動域は?腱板とは?

こんにちはコツコツです。久しぶりの整形外科的知識の投稿となります。

今回は肩関節についてです。なかなか苦手な領域ではありますが、基本的なところを抑えていけたらと思います。

肩関節痛

日常診療で多いのは、肩腕症候群、肩関節周囲炎などですが、その背景には腱板損傷、変形性肩関節症、石灰性腱炎、偽痛風などの病態があることも多いと思います。

まずは病歴を聴取し、外傷性のものか非外傷性のものに分類しましょう。

もし外傷性の場合は疼痛部位や圧痛部位を確認しレントゲン検査でよいと思います。

骨折や脱臼している場合に無理に診察を行うと痛みが増すだけですからね。。

骨折や脱臼はレントゲン検査でほとんど診断できますから、どちらかというと非外傷性の方が診察が難しいと思います。

骨折や脱臼が無い場合は詳細な診察を行い、必要に応じてMRI検査などを相談しましょう。

診察方法

まずは可動域の確認です。

屈曲:脇を広げずに手をまっすぐあげることです。図では90度ですが、正常は180度可能です。

伸展:脇を広げずに手を背中側に伸ばすことです。正常では50度可能です。

内転:中間位で体幹方向に回す動きです。正常ですと0度です。

外転:中間位で脇を広げる動作です。正常では180度可能です。

内旋:肘関節を90°屈曲した状態で体幹方向(内側)に回す動作です。正常では80度可能です。

外旋:肘関節を90°屈曲した状態で外側に回す動作です。正常は60度可能です。

続いてインピンジメントサインです。

インピンジメントサイン

Kneerサイン:肩関節を内旋位にした状態で他動的に屈曲させると疼痛出現(肩甲骨を抑えながらやるのがポイント)

Hawkinsサイン:肩関節を屈曲90度にした状態で、他動的に内旋させると疼痛出現

上記テストで疼痛が出た場合にインピンジメントサイン陽性とします(腱板断裂や肩峰下インピンジメント症候群が考えられる)。

腱板損傷を疑うポイント

腱板とは上腕骨近位部についている4つの筋腱のことで、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋のことを指します。

以下の診察を行いながら腱板損傷がないか調べていきます。

painful arc sign:自動運動にて上肢を挙上させ、徐々に下垂させて際に疼痛出現(腱板損傷の可能性)

棘上筋テスト(empty can test):母指を下にした状態で、他者による抵抗下に屈曲90度にすると疼痛出現、もしくはできない

棘下筋テスト(full can test):母指を上にした状態で、他者による抵抗下に屈曲90度にすると疼痛、あるいはできない

berry press test:お腹を押す動作をした際に、後方に肘が動くこと(肩甲下筋の損傷を確認)

lift off test:手を腰にまわし、離すことができない(肩甲下筋の損傷を確認)

筋肉と支配神経

腱板を構成する筋肉の支配神経も押さえておきましょう。腱板に問題がなくても肩関節の挙上ができない場合に考慮しましょう。

棘上筋、棘下筋:肩甲上神経

肩甲下筋:肩甲下神経

小円筋:腋窩神経

その他、三角筋は外転動作に大きく関係する筋肉であり、腋窩神経支配です。

腋窩神経は意外と上腕骨の近位部の近くにあって、肩関節手術のアプローチの際に注意しなければなりません。

上腕骨近位部における腱板

また、腱板を構成する筋肉は手術の際に再建することもありますので、上腕骨近位部のどの部分についているか知る必要もあります。

大結節:棘上筋(緑色)と棘下筋(青色)、小円筋(赤色)が停止

小結節:肩甲下筋(紫色)が停止

オレンジ色は結節間溝です。上腕二頭筋腱長頭が走っていますのでメルクマールになります。

手術や肩関節の診察を理解するのに解剖学的な走行は重要になります。

おわりに

いかがでしたか。肩関節は非荷重関節ですが、いろいろな動きが可能なので、難しいですよね。。これでもまだ全然深掘りできていないのですが、なかなかまとめきれないので少しずつお話ししていけたらと思います。

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