こんにちは、今回は『骨癒合について』の追記になります。
骨癒合には2つのパターンがあることは前回の記事でわかったと思います。その2つの骨癒合が実際にどんな時に起こるか(適応になるか)お話しします。
直接的骨癒合 direct healing
骨が折れた後、完全に綺麗に元の位置に戻され、金属でしっかりと固定された場合(全く動かない場合)に起きます。どの骨折も元の位置にきちん戻り、全く動かない固定をした方がいいと思われるかもしれませんが、callus(仮骨)を形成しないことから、骨癒合後の強度は間接的骨癒合より落ちますし、骨癒合にも時間がかかります。どんな時にこの骨癒合を目指すかというと、代表的なものは「関節内骨折」になります。関節内には関節軟骨がありますから、骨折によってずれた位置をできる限り元の場所に戻す必要があります。ずれが生じてしますと軟骨のすり減りが早くなり、関節症を引き起こすこともあります。なので、ずれが大きい関節内骨折を起こした場合は手術を行い、できる限り骨折部を元の位置に戻し、金属で(プレート固定など)固定し、直接的骨癒合を目指すわけです。
間接的骨癒合 indirect healing
骨折がある程度ギャップがあったり、骨折部が粉砕していたり、固定がmicro motionを許容している(髄内釘など)場合に起きます。callus(仮骨)を形成するため、骨折部の周りが太くなってくっつきます。強度も直接的骨癒合よりも良くなることが多いです。骨幹部骨折に対してギプス固定した場合や、手術した場合に起きやすいです。骨は全く動きのない固定よりは、少しの動き=micro motionがあった方が癒合しやすいと言われています。同様の理由で、骨がくっつきにくい場合に超音波療法などが用いられます。ただしギャップが大きすぎると遷延癒合や偽関節になるため注意が必要です。
おわりに
少しわかりづらいところですが、整形外科医にとっては基本的な内容になります。どの様な骨癒合を目指すか、骨折の位置やその形態によって決めることが大事かと思います。
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骨癒合について
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