こんにちはコツコツです。
今日は創外固定に関して触れてみたいと思います。
はじめに
まず創外固定といってピンとくる方は、どれぐらいいらっしゃるでしょうか。多くの方は「なにそれ?」状態ではないでしょうか。整形外科領域では一般的な処置方法ですのでイメージできるようになればと思います。
まずどんな骨折をした時に創外固定をするのか?
一つは開放骨折です。
開放骨折には有名なGustilo分類がありますね。
Gustilo分類
大まかには以下の様に理解してもらえると良いと思います。
Type I 創部 < 1cm 創部 汚染軽度
Type II 創部 ≧ 1cm 汚染中等度
Type III a 創部>10cm 汚染高度
Type III b 創部閉鎖できない
Type III c 神経血管損傷あり
Type II の開放骨折ぐらいから創外固定が必要になると思います。
Gustilo分類は四肢の長管骨骨折に用いられる分類なので、手指や足趾の開放骨折にはあまり用いません。汚染度が高度の場合は創部の大きにさ関わらず、Type III となります。また血管損傷は、その血管がないと虚血になる血管の損傷になります。例えば下腿遠位には前脛骨動脈と後脛骨動脈があり、前脛骨動脈損傷のみではIIIcとはなりません。それより高位の膝窩動脈損傷はIIIcとなり得ます。
適応
考え方は色々あると思いますが、基本的には「軟部損傷・汚染度が大きく、一期的に内固定(手術)ができない時」「骨折部の不安定性が著明であり、そのために軟部の腫脹やコンパートメント症候群をきたす可能性がある時」に使用すると考えていいと思います。また、多発外傷(骨盤骨折や大腿骨骨折)の時にダメージコントロールとして創外固定をすることもあります。
創外固定
創外固定で一番多い骨折は、足関節や下腿の骨折になるかと思います。そのケースを想像してみましょう。創外固定は文字通り創部の「外」で固定します。そのためにピンを2本ずつ、脛骨(スネの骨)の近位(骨折部をまたいで体幹に近い所)と遠位(骨折部をまたいで体幹に遠い所)に挿入します。あるいは骨折部をまたいで脛骨と踵骨(踵の骨)に刺します。
脛骨の断面は三角形の形をしていますので、その前方の頂点や面から後方に向かってピンを挿入します。後方には神経血管束が走行しているため、深く挿入しない様に注意が必要です。踵骨に刺す場合は2本ピンを挿入します。1本の貫通ピンだけ刺す場合もありますが、より安定性を高めたい時には踵骨の内側、外側から1本ずつ合計2本挿入することがあります。そのピンに専用の機械を取り付け、創部の「外」で固定をするわけです。この固定のメリットは、短時間で強固な固定を得られることにあります。骨折部を直接展開せずに、正常な骨同士で橋渡しをしているので、創部(キズ)にも優しいです。デメリットはピンの刺入部が不潔になることです(創部感染症や骨髄炎の原因となり得ます)。なのでピン周囲は適宜生理食塩水やガーゼなどで綺麗にします。
おわりに
いかがでしたでしょうか。少しは理解が深まりましたでしょうか。あまり深掘りはしていないので、詳しい内容は後日記載できたらと思います。創外固定は救急病院で働いている整形外科医はみなさん経験あると思います。開放骨折=創外固定では決してないと思いますが、開放骨折の症例の場合にまず最初に思い浮かんで欲しいと思います。