こんにちは!いかがお過ごしでしょうか。
コツコツです。今回は整形外科医なら誰でも外来で見たことのある、ばね指(屈筋腱腱鞘炎)について少しお話ししたいと思います。
屈筋腱腱鞘炎
皆さんはいわゆる腱鞘炎というと、どの様な症状をイメージするでしょうか。
手首を使いすぎて痛いなーとか、筋肉やスジがツッパている、物を持つ時に痛いなーなど様々だと思います。これらの多くは伸筋腱の炎症になると考えられます。
ばね指は腱鞘炎なのですが、屈筋腱(手のひら側)になります。症状は名前の通り、指を曲げた状態から伸ばそうとするとばねの様に、バイーンと伸びることです。snappingと言います。症状が進行すると指が曲がったまま(屈曲位)となります(脱臼、腱断裂、末梢神経障害と間違われることが多いです)。腱鞘炎が起きている場所に圧痛もあります。
病態
腱は腱鞘というトンネルを通っています。その中を滑走しているイメージです。その滑りが悪くなることでばね指の症状が出現します。原因は炎症などによる腱自体の肥厚や、腱鞘(トンネル)の狭窄になります。使いすぎが多いかもしれません。
他にも更年期や周産期の女性に多い、糖尿病、関節リウマチの患者に多いと言われています。
治療
治療はどういったものがあるか、挙げていきます。
① まずは指を安静にします(サポーターなどで)。手を使う仕事をしている人はできる範囲で指を休ませます。
② 炎症を抑える飲み薬(痛み止め NSAIDs=ロキソニン、セレコックス)を使用します(高齢者や胃が弱い人は注意が必要です)。
③ それでも症状が残存する場合はステロイド注射を行います(ケナコルト)
自分は、ケナコルト50mg/5ml 0.4ml + キシロカイン1% 0.6ml (合計1ml)を腱鞘内注射しています(一つの例として参考程度にお願いします)。1−2ヶ月で効果が現れます。2−3回までが良いと言われています。理由はステロイド注射を行うと腱自体を損傷したり、さらに肥厚することがあるからです。
④ 注射で症状が改善しない場合は手術での腱鞘切開が必要になります。局所麻酔(指ブロック)で手術できます。A1プーリーと呼ばれる部分が原因であることが多いのでそこを切開します。圧痛点がA1プーリーの直上であれば間違いないと考えます。
おわりに
いかがでしょうか、ばね指ご存知でしたか?年齢を重ねると健康な人でも症状が出現しますので知ってて損は無いかと思います。また内科の先生からは脱臼、腱断裂や化膿性腱鞘炎などといった病名で紹介を受けることも多々ありますので、整形外科医以外が見ると、診断が難しいことも多いと感じています。