こんにちは、コツコツです。今回は研修中に一度は耳にするであろうバックについてです
バック=V.A.C®︎療法
外科系の科を回ると、よく「バック交換しといてね!」と言われると思います。
最初はバックって何ですか?と思いました(汗
実際バック療法をやっている時もこれは何をしているんだろうと思っていました。。
バック(V.A.C®︎)はVacuum Assisted Closureの略で、ケーシーアイ(KCI)という会社の商品の名前になっています。
概念としては局所陰圧閉鎖療法(NPWT: Negative Pressure Wound Therapy)というものになります。
学会などの発表ではNPWTと呼ばれていることが多いと思います。
同じような商品でRENASYS®︎というものがあります。こちらは整形外科ではお馴染みのスミスアンドネフュー(Smyth&Nephew)社が出しています。
どちらも創部が閉鎖できない手術に使うことが多いです。
どんな時に使うの?
大きく3つの場合に分けられると思います。
1つ目は開放骨折gustilo IIbなどで創部閉鎖が困難である場合、デブリドマン、創外固定に加えてバック療法を行うことが多いです。しかし創部の感染を伴っている場合は基本的には使用することが困難であるため、初回手術から2−3日後にはデブリドマンを追加するなど、何度も創部を確認したり、デブリドマンを行う必要があります。また、最近はCLAP(continuous local antibiotics perfusion)と呼ばれている局所の持続抗菌薬灌流療法などを追加し感染をコントロールした上で内固定(internal fixation)を行うという方法やfix and flapやfix followed by flapなどの考え方も出てきいますので、上級医とよく相談して治療方法を決定すると良いと思います。
2つ目は糖尿病性壊疽や褥瘡などで四肢、体幹部に巨大な潰瘍や皮膚欠損ができた場合です。この場合も問題となるは創部感染症なので何度もデブリドマンを行い、感染を沈静化した後に使用する方が良いです。また、虚血肢の場合は逆に血流を悪化させることがあるので、まず血流を良くすることから始める必要があります。
3つ目は分層植皮後の圧迫に使う場合です。従来はタイオーバー法で固定することが多かったと思いますが、バックによる創部管理が楽であり、生着も良いなのでよく使われます。大体4-5日後にバックを外すことが多いです。
おわりに
いかがでしたか。バックを知っている人からしたら当たり前のことかと思いますが、意外と病院によっては使わないところも多いと思います。創部管理に困った時は一度デブリドマン+バック療法(=NPWT)を考えてもいいかもしれません。また形成外科と相談することで治療選択の幅が広がると思いますのでご一考を。
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