医学

整形外科的知識④:ラグスクリューとは?

はじめに

こんにちは、コツコツです。今回も整形外科的知識に関してです。整形外科になった時に手術でよく聞く単語だと思います。ラグスクリューってなんでしょうか?

髄内釘のラグスクリュー

一番最初に思い浮かぶのは髄内釘のラグスクリューではないでしょうか。大腿骨転子部骨折の手術方法、いわゆるガンマタイプの髄内釘を想像するとわかりやすいと思います。ネジの先端から中央部辺りまでネジ切られています。ヘッドとネジ切りの間はスムースですよね。髄内釘のラグスクリューは骨頭の回旋抵抗であったり、骨頭把持に関わってきますので、骨頭を支えるためのものと考えていいと思います。前回お話しした海綿骨スクリュー(キャンセラススクリュー)と形は似ていますよね。ですが少し意味合いが違うこともわかると思います。

もう一つのラグスクリュー

他にもラグスクリュー、ラグスクリューとよく聞くことはないでしょうか。お気づきだと思いますが、骨折の整復(reduction)の時です。ラグスクリューテクニック(Lag screw technique)と聞いたことはないでしょうか。

ラグスクリューテクニック

ラグスクリューテクニックとは骨片間の圧迫を得たい時によく使います。これはラグスクリューでなくても可能です。骨折の手術の時に多いのはコーティカルスクリューを用いて行う時だと思います。骨折部の手前をスクリュー径と同じか1-2mm大きいドリルで掘り、骨折部の奥の方をスクリュー径より小さく掘ればいいのです。例えば3.5mmのコーティカルスクリューであれば大体2.7-2.8mmがネジが効くドリル径になっています。なので3.5mmのドリルで骨折部の手前を掘り、奥の方を2.8mmのドリルで掘ることで、スクリューの半分が効かなくなり、骨片間の圧迫力を得ることができます。これは一般的なテクニックなのでどの教科書にも載っていることかと思います。骨片をラグスクリューテクニックで引き寄せた後にプレートを置いたりします。他にもDynamic compressionなどの方法があります。

おわりに

ラグスクリューとラグスクリューテクニックは、省略して「ラグ」などと呼ばれることが多いので混同しがちですが、意味が異なることを理解しましょう。

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