こんにちは、コツコツです。
意外と知らないシリーズ第二弾です。今回は大腿骨転子部の大転子骨折についてです。
大転子
少し解剖を勉強したことがある人ならみなさん知っていると思います。
大腿骨近位部には骨頭、頚部、大転子、小転子といった構造があります。
右大腿骨近位部正面
黄色:骨頭、赤線:頚部、緑色:小転子、青色:大転子(頂部)
大転子骨折
骨折で多いのは大腿骨転子部骨折や大腿骨頚部骨折になります。これらの骨折があると荷重が困難になります。
しかし大腿骨転子部の頂部で骨折が起きることがあります。
レントゲンやCTでは大転子の近位部(頂部)にのみ骨折があり、荷重に関係する頚部や小転子には骨折線がありません。
ただしMRIでの確認はした方が良いです。なぜかというとMRIで骨折線が頚部や小転子に向かっていることがあるからです。
CTで骨折線がなくてもMRIで荷重部(頚部や小転子方向)に骨折線があれば手術をした方がよいと言われています。
逆にMRIでも骨折線が大転子頂部以外にない場合は保存的治療で良いのです。
治療
大腿骨頚部や小転子にむかう骨折線がない場合は、保存的治療になります。
2−3週免荷(体重をかけない)し、レントゲンを撮影しても骨折線の広がりがなければ徐々に体重をかけていきます。(1/3荷重など部分荷重から開始するなど)
2-3ヶ月では骨癒合します。症例によっては偽関節となることもありますが、大きく転位していなければ許容されることが多いです。
大転子頂部には主に中臀筋という、股関節を外転させる筋肉がついているため、転位が大きければ外転させる力が低下することがありますので注意が必要です。
おわりに
いかがでしたか。大腿骨頂部の骨折は初期には見逃しやすいため、股関節痛や大腿部痛があるのに大腿骨頚部骨折や転子部骨折がない場合に、注意してみるといいと思います。同じ様に見逃しやすい骨折として恥骨骨折や坐骨骨折があります。
レントゲンでわかりづらくても、骨折の場合にははっきりとした身体所見(圧痛や可動時痛)があるので、しっかりと身体所見をとることが重要と考えます。
今後もこのシリーズを続けていきたいと思います。
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