こんにちは、コツコツです。
前回大腿骨転子部骨折①について記載して、長い間が空いてしまいましたが、もう少し詳しく大腿骨転子部骨折について記載していきたいと思います。
骨折型の分類
よく用いられるのはEvans分類、AO分類、中野3DCT分類になるかと思います。
個人的には骨折型が手術方法の適応へとつながる中野3DCT分類をよく使っています。
上図:中野3DCT分類の2partと3part
3part Aまでが安定型、3part Bから不安定型と言われています。
赤線が骨折線、赤く塗られている部分がいわゆるバナナ骨片です。
日本では術前にCTをとることがほとんどなので、よく使われていると思いますが、海外だとAO分類が多いと思います。
しかし、どの分類でも重要なのは安定した骨折型と不安定な骨折型を見分けることにあると思います。
手術
安定した骨折型であれば骨折部を整復後に、通常通りショートの髄内釘を使用するだけでいいと思います。
不安定な場合はそもそも整復が難しくなるため、インプラントの選択の前にどのように整復するかを計画しなければなりません。
ここで一番大切なことはしっかりと大腿骨内側前方をコンタクト(接触)させることです。
転子部骨折の多くは、近位骨片が遠位の髄内に入ってしまう、髄内型(subtype P)になっています。
これをエレバトリウムやK-wireを使って、髄外型(subtype A)に整復し、荷重時に大腿骨内側前方の骨皮質で支えるようにすることが大事です。
しかし、この整復方法が当てはまらない骨折型があるので注意が必要です。大腿骨頚基部骨折などで近位骨片の内側前方骨皮質が割れている場合は、
髄外型に整復しても髄内釘では荷重を支えるには不十分です。なので小さいプレートを追加したり、遠位設置型やセメントタイプの人工骨頭などで対応することがあります。
(近位に複数のスクリューを打つことで対応するところもあります)。
また、高齢者の脆弱性骨折と、青壮年の高エネルギー外傷による転子部骨折では全く違うものになります。
特に高エネルギー外傷の転子部骨折、特に大腿骨転子貫通骨折はとても整復が難しいので注意が必要です。
おわりに
いかがでしょうか。大腿骨転子部骨折は症例によってはとても整復・固定が難しいことがあるので、事前にいろいろな整復ツールを用意しておくといいと思います。大腿骨転子部骨折に限らず、骨折の治療というのは何年たっても追求する必要があり、奥が深いと思います。
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