こんにちは、コツコツです。
久しぶりに整形外科的な内容を載せたいと思います。
整形外科の需要は年々高まっており、このコロナ禍でも手術件数は一時的に減りはしたものの、全体を通すとあまり影響は少なかったように思います(少なくとも自分の病院では)。
コロナで自宅にいても高齢者の屋内転倒はおきますし、交通事故もゼロにはできませんし、また最近では体育や部活が再開されてスポーツ外傷も増えてきました。
そして年末年始になるとある疾患が増えるのです、これは毎年変わりませんね。
そうです、痛風です!今回は痛風について少し話をします。
痛風
読んで字のごとく、「風が吹いただけで痛い」、それぐらい痛いものと記憶しています。
痛風を経験された方は言われなくてもわかっていることかもしれませんね。
痛風とは痛風発作のことで原因としては高尿酸血症が挙げられます(一部、尿酸値が正常の方でもおきることがあり注意が必要です)。
高尿酸血症
尿酸値は正常上限が約7.0mg/dlです。それを超えると高尿酸血症となります。
薬剤性や腎機能低下に伴うものもありますが、もっとも多いのは飲酒とプリン体を多く含む食材の摂取です。
お肉やレバー、カツオなどの魚介にも豊富に含まれていて、お酒のお供になる食材に多いです。
運動不足、野菜の摂取不足などの食事の偏りがある方は健康診断などで指摘されることがあるかもしれません。
基本は飲酒・食事内容の改善や運動療法で治療を開始し、改善が乏しければ、尿酸生成抑制薬や排泄促進薬を内服しコントロールします。
痛風発作
プリン体を多く含むものを摂取し血中の尿酸値が上昇すると痛風発作を起こすことがあります。
身体所見:
患部の腫脹と圧痛(強い痛みを伴う)、発赤などが特徴です。
外傷機転がないことも重要なポイントです。
画像所見:
初期では骨には異常がないことがほとんどですが、なども炎症を繰り返すと関節裂隙狭小化や関節破壊が進行することがあります。
レントゲン画像では関節内に尿酸結晶はうつらないことも特徴です(偽痛風のピロリン酸カルシウムはレントゲンでうつります!)。
関節穿刺液:
関節穿刺液は黄色混濁しており、肉眼的に結晶を確認できることがあります。
顕微鏡検査でみると針状の結晶がみえることが特徴です。
治療:
発作は激痛を伴うものなので、基本はロキソプロフェンなどの消炎鎮痛薬を内服します。
注意するのはこの状態で尿酸値を急激に増減させないことです。まずは炎症を落ち着かせることを優先させます。
(痛風発作が悪化する可能性があるためです)
よく痛風発作を起こす方はコルヒチンなどの痛風発作予防薬を内服する時もあります。
下肢に症状がでることがあり(特に膝や足関節、母趾)、その場合は免荷のために松葉杖などを借りたほうがいいと思います。
注意点
痛風をみるときの注意点ですが、ズバリ、化膿性関節炎との鑑別です!
足関節はそれほど頻度は多くないと思いますが、膝関節の熱感、腫脹の場合は化膿性関節炎の場合があり注意が必要です!
現病歴や既往歴、採血検査である程度鑑別はできると思いますが、迷ったら関節穿刺ですね。
関節液が白濁していたり(明らかに膿だったり)、細菌検査で塗沫や培養が陽性であれば化膿性関節炎として治療する必要があります。
緊急手術となることがありますので、その場合は上級医と相談したほうがいいと思います。
おわりに
いかがでしたか。少し内科的な要素の強い疾患だとは思いますが、関節穿刺などの手技が必要となりますので、整形外科的にはcommon diseaseです。
病院によって少し対応が異なるかもしれませんので前もって確認しておきましょう。
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