こんにちは。コツコツです。皆さんは変形性膝関節症という疾患を知っていますでしょうか。整形外科に通われている方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。よく膝の軟骨がすり減ってきたとか言われる、アレです。膝の軟骨がすり減ると骨と骨がぶつかって痛みを生じます。痛みがひどいと最悪の場合歩行困難となってしまいます。最近話題のロコモの原因の一つですね。
原因
一次性:原因となる疾患が特にない(加齢、体重増加などで)
二次性:何か別の疾患があり、それが原因となっているもの(関節リウマチ、絨毛膜炎、外傷後、感染後など)
身体所見
膝の変形、膝の内側部痛が多いです(外側や全体が痛い人もいます)。O脚、可動域制限(曲げ伸ばしができない、跪きができない)などがあります。
診断
診断は立位正面の単純X線写真でほとんど可能です。多くは内側半月板や軟骨がすり減り、骨と骨がくっつきそうになっています(関節裂隙狭小化)。また、骨棘(spur : スパー、osteophyte : オステオファイトなどと呼ばれます)や骨のう包形成などといった骨の変形を認めることがあります。
単純X線の所見から、KL(Kellgren Lawrence)分類がよく用いられます
Grade0 :正常
Grade1:骨棘や関節裂隙狭小化を疑う所見あり
Grade2:骨棘形成や軽度の関節裂隙狭小化を認める
Grade3:さらに関節裂隙が狭小化し、骨棘形成の他、骨硬化を認める
Grade4:関節裂隙消失(骨と骨がくっつく)、高度な骨の変形も認める
他にもMRI検査でも診断可能です。より詳しく、軟骨損傷、半月板損傷、靭帯損傷について評価できます。
治療方法
保存的治療:手術をせずに経過を見ることです。Grade 0-1などの初期の段階であれば、減量と大腿四頭筋の筋肉トレーニングが主な治療となります。Grade2あたりからは投薬治療として鎮痛薬、湿布を用います。それでも疼痛が続く場合は装具を作成します。膝関節装具や、インソールを使用することである程度疼痛が軽減します。それでも疼痛が続く場合には関節注射も考慮します。一般的な関節注射はヒアルロン酸注射になります。これに鎮痛薬(キシロカイン)などを混ぜることもあります。ただし関節注射は化膿性関節炎の原因になることもあるため、頻回の注射はお勧めできません。3-4週に1回程度の方が安全かと思います。ただし関節注射は論文によってはその効果を疑問視しているものもあり、今後は関節注射を治療に用いなくなるかもしれません。
手術療法:保存的治療で改善せず、階段昇降のみならず、平地での歩行が困難となってしまった場合に手術を相談します。
① HTO(High Tibial Osteotomy:脛骨高位骨切り術):内反膝(O脚)でであり、外側半月板の損傷がない方に適応となります。脛骨近位を骨切りしプレート固定することで、荷重線を内側から外側にshiftさせる手術です。関節を温存することができます。比較的若くて活動性の高い方に適応です。
② UKA(Unicompartmental Knee Arthroplasty:人工膝単顆置換術):多いのは膝関節内側のみの変形や壊死を認める場合です。診察やMRIにより前十字靭帯や後十字靭帯が機能していることを確認する必要があります。
③ TKA(Total Knee Arthroplasty:人工膝関節全置換術):高度な変形があったり、外側半月板や軟骨の損傷がある場合に適応となります。高齢な方や活動性が軽度〜中等度である場合が多いです。自分の関節は温存できません(人工関節となります)
おわりに
いかがでしたか。有名な疾患なので、すでに知っている方も多いと思います。初期に診断されることで自分の関節を長く温存できるかもしれませんので、心当たりがある方は最寄りの整形外科で診察を受けることをお勧めします。
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