医学

整形外科的知識16:ATFL損傷って何ですか?

こんにちは、コツコツです。

整形外科になってよく耳にする言葉だと思います。知っている方も多いと思いますが、少し説明したいと思います。

ATFLとは?

Anterior Talofibular Ligament、前距腓靭帯のことです。距骨と腓骨を結ぶ前方の靭帯です。

足関節側面でみてみると以下の赤色で示した領域になります。

(青色は Calcaneofibular ligament: 踵腓靭帯 通称:バネ靭帯)

受傷機転

ほとんどが足関節内反位での受傷になります。足関節捻挫でよく損傷する靭帯です。

診断

まずはレントゲン撮影を行い、骨折がないか調べます。腓骨遠位で骨折している可能性があるので注意が必要です。

骨折の判断が難しい場合は4方向のレントゲン撮影やCT検査をするといいと思います。

軽度、中等度、重度の損傷に分類されます。

軽度損傷:圧痛はあるが、歩行可能な状態

中等度損傷:腫脹と疼痛を伴い歩行困難。疼痛あるが足関節を動かすことができる。エコーで靭帯の部分断裂。

重度損傷:腫脹と疼痛のため足関節の可動が困難。足の接地不可。広範囲な皮下出血を認める。エコーで靭帯の完全断裂。

治療

軽度〜中等度の場合はシーネ固定あるいはギプス固定で患肢非荷重を2週〜4週間続けます。

疼痛に応じて固定を継続するか除去するかを判断していきます。

中等度の場合は固定期間の後にサポーターなどで足関節の内外反を抑制します。

重度の場合は非荷重・ギプス固定期間の後に内外反や底背屈を抑制した装具を2−3ヶ月間着用します。新鮮例では手術治療も選択肢となります。

おわりに

いかがでしたか。ATFL損傷は外来でよくみる靭帯損傷なので解剖の復習と治療方針まであわせて覚えておきたいです。手術に関しては指導医と相談の上検討してください。

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