こんにちは、コツコツです。
新年あけてましたが、なかなか記事を投稿できていなかったので、ATFL損傷に続き、膝蓋骨脱臼、MPFL損傷についてお話ししたいと思います。
膝蓋骨脱臼も頻度は多くないですが、割と救急外来で遭遇する疾患です。
膝蓋骨脱臼とは
文字通り、膝蓋骨(patella)が大腿骨の顆間から脱臼することを言います。
全然違う疾患である膝関節脱臼と間違えないように注意が必要です(膝関節脱臼は膝窩動脈損傷や複合靭帯損傷をきたす高エネルギー外傷です)。
よく遭遇するのは外傷性の膝蓋骨脱臼になります。
その中に反復性の膝蓋骨脱臼に移行するものがあるので注意が必要です。
反復性膝蓋骨脱臼
反復性膝蓋骨脱臼の素因としてよく言われているのが
大腿骨前捻角の増大、顆間溝角(sulcus angle)の増大、膝蓋骨高位(patella alta)
Q角の増大(伸展位で大腿四頭筋と膝蓋腱のなす角度)
その他外反膝、大腿骨顆部形成不全、脛骨粗面外方偏位、下腿内旋などがあります。
また、膝蓋骨形態の分類としてwiberg分類があります。
以下に画像を載せています。
大腿骨前捻角
顆間溝角(sulcus angle)
膝蓋骨高位(patella alta)
Q角の増大(伸展位で大腿四頭筋と膝蓋腱のなす角度)
Q角はXPやCTだと上前腸骨棘〜顆間と膝蓋骨軸(〜脛骨軸)とのなす角で表現
何度も脱臼を繰り返す場合はこういった素因がないかチェックする必要があります。
診断
診断は単純X線で比較的容易に診断できます。
膝蓋骨が外方に変位していることが多いです。
軟骨損傷や小さな骨折を調べるためにCT検査やMRI検査を追加することがあります。
治療
まずは徒手整復です。
痛みが強い場合はキシロカイン関節注射や点滴から静脈麻酔を用いることもありますが、
麻酔を行わずとも外側から内側へ容易に徒手整復できることが多いです。
その後は膝蓋骨を保持するサポーターなどの装着が必要です(なければシーネ固定やニーブレース固定などで対応)。
初回脱臼であれば2−3週安静後にサポーターを用いながら膝関節の可動域訓練と筋肉トレーニングを少しずつ開始します。
反復性脱臼の場合は内側膝蓋大腿靭帯(MPFL medial pateellofemoral ligament)の損傷や、
もともとの素因が関係している可能性が考えられるため手術を考慮します。
内側膝蓋大腿靭帯(MPFL:medial pateellofemoral ligament)損傷
おわりに
いかがでしたか。膝蓋骨脱臼は単純にみえて意外と奥が深い疾患です。
反復性膝蓋骨脱臼の場合は、膝関節の専門の先生に相談する必要がありますので、注意が必要ですね。
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